冬依の中学1年生

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『ボク? ボクっ娘?』 思いながら仁依は、 「人を待ってるって、こんな雨の中で?」 重ねて聞く。 するとその時、コンビニチャイムが鳴って、出入り口のドアが開閉した。 女の子はふと顔をあげて、 「うん。もう来たみたい。じゃあねお姉さん」 仁依に無邪気な笑みを向けて走り出す。 その見事な笑顔に気を取られて、ちょっとぼうっとしてしまう仁依の目の前で、少女は、いまコンビニから出てきたばかりの男たちの側へと駆け寄った。 でも、 「!」 コンビニからたむろって出てきたのは、高校生くらいの男たち3人。 それも普通の高校生ではなく、髪を安っぽい色で染め、カラコンをいれピアス穴をいくつもあけた、いかにもチャラついたイメージの男たちだ。 少女とは、まったく違うタイプ。 人種さえ違っているのではないかと思えるくらい違う。 それなのに、そんな男たちにまっすぐに駆け寄った女の子は、傘をひらく男たちに、 「ねえ、お兄さんたち」 屈託なく話しかけている。
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