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いきなりの仁依の登場に、さすがの坂田もバツが悪い思いをしたのだろう。
しぶしぶながら冬依との身体の距離を空ける。
こうして見ると、冬依の体格は坂田の3分の1だ。
あんな小さな子に、何をしようとするのだ、この下衆野郎は!
「今すぐその子を放しなさい!」
仁依の剣幕に坂田もムッとしたのか、
「お前には関係ないだろ。一体、どこの誰だよ」
野太い声で誰何する。
男の威圧感にちょっと怯み、仁依の足が止まる。
弱みを見せたのが悪かったのか、
「……だから、お前誰だよ」
坂田がギロリと睨みつけてくる。
冬依を抱く手は、けして離すまいと、ますます力が込められる。
見ている仁依の方が、気持ち悪くなってきた。
だから仁依は、
「私はその子の友だちよ。だから手を離しなさい」
冬依の顔は、なんだか泣きそうだ。
こんなの、絶対に放ってはおけない。
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