冬依の中学1年生

32/50
前へ
/50ページ
次へ
なのに、 「あぁ!? 友だち? お前とこの子が?」 冬依と仁依の年齢差を笑うのか、坂田の声にからかいの色が含まれる。 「信じられねーな」 だから余計に仁依はムッとした。 「あんたこそ大人でしょう。子どもにそんなイヤらしいマネして、恥ずかしくないの」 冬依の細い身体は、いまにも坂田の手で握りつぶされてしまいそうだ。 手折られる寸前の花のように、小さくなっている。  ――早く助けなきゃ! 「汚い手でその子に触らないで!」 仁依は怒鳴った。 するとその時、ピロリーンと誰かの携帯が呑気な着信音を告げる。 その甲高い音が勘に触ったのか、坂田は眉をしかめて、 「まったく、口うるせーなぁ」 面倒くさそうに言い捨てる。 「本当に、オバハンっつーのはー……」 次の瞬間、冬依の身体が跳ねた。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加