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「――」
坂田の膝の上に座っている状態だった。
身体の小さな冬依は、足をぶらつかせていて、どこにも踏ん張る足掛かりなんかない。
だけど、まるでバネが弾けるように、
――ビョン!――
冬依の身体がバウンドし、無駄口を叩く坂田の顎に硬い頭の頭突きが直撃。
口を開けたところを下から突き上げ、坂田は思い切り自分の舌を噛み、唇の端からツゥーッと血が垂れる。
「キミ、何を……」
事故なのか故意なのか判断できないまま、坂田は手のひらで口を押え、膝の上の冬依を見下ろした。
冬依は、
「ふふっ」
流れた血に動じることなく笑う。
その見事な笑顔に見惚れている間に、今度は後ろに倒れるように背中をそらす。
坂田に支えられている腰を支点に、空中で華麗な一回転。
ベンチの端に片手を引っかけ、見事なバク転をみせて地面に降りたった。
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