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それでも坂田という教師は、身体も大きく行動力や財力もある大人だ。
心配が尽きない仁依に、冬依は、
「大丈夫だって黒井さん。ウチにはものすごく頼りになる兄が三人もいるんだ。ちゃんとボクを守ってくれる」
「ホント?」
聞けば、
「うん。こっちも大人だし。そうじゃなくても、あんなやつに負ける要素はひとつもないね」
きっぱり言い切るので、そこは信用しておく。
それでも、
「でもだからといって、冬依くんは襲われそうになったんだから、今回はちょっと無茶しすぎだよ」
仁依が叱れば、
「やだなぁ。ボクは襲われてないよ」
冬依は反論する。
「え、だって、キスされそう……」
仁依が言葉を濁しながら言いつのれば、
「ああ、あれは――」
冬依は、
「キスされそうになったんじゃなくて、キスしようとしたの。だってボクから『キスして』ってあいつに言ったんだもの」
「え?」
仁依は、心の底から驚いた。
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