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冬依が次々と見せてくれる写真は、すべて角度を変えて撮られた坂田と冬依のものだ。
坂田の顔がはっきり写っているのもあれば、背中側からのもある。
ふたりが座っていたベンチを中心に、ぐるりと周囲から隙なく撮影されたらしい。
「ボクがLineで集合かけて、あの場でみんなに潜んでてもらったんだ」
仁依が信じられない思いで、
「あの場って、さっきの公園?」
聞けば、冬依は、
「Yes」
と答え、
「みんなって誰?」
聞けば、
「あいつの高校の生徒たち。坂田に弱みを握られたり脅されたりして、いやいや万引きさせられてたお兄さんたちだよ。ボク、これまでもみんなの連絡先を聞いてきたんだ」
「……」
さっき叩きのめしていた万引き犯たちとも、冬依は確かに、携帯番号やアドレスを交換していた。
冬依がこれまでも店の外で万引き犯を捕まえ、ずっと同じことを繰り返してきたのだとしたら、今夜仁依が見た一部始終は、冬依がたてた作戦の、ほんの一部分だ。
そういえば冬依は、公園でしきりと携帯を操っていた。
冬依の作戦とは――、
「あなた、今度は逆に、生徒たちにあの先生の弱みを握らせるつもり!」
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