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前言撤回。
この子は子どもなんかじゃない。
めちゃくちゃ大人な考え方をする子だ。
たいした度胸。
そして覚悟。
いったいどんな育てられ方をしたら、こんな腹の座った子に育つのだろう。
仁依が感動して冬依を見つめていると、いきなり、
――ゴン!
音がする勢いで、冬依の頭にでっかいゲンコツが落とされた。
「――!」
その絶大なる威力に、さすがの冬依も頭頂部を押さえてうずくまってしまう。
「え? え?」
驚く仁依を尻目に、いつの間にか冬依の背後に立っていたのは、
「こら冬依! 子どもがいつまで外をふらふらしてる」
映画俳優と見紛うばかりの超イケメン。
短く刈った黒髪は清潔そうで、彫の深い目元が涼やに細められている。
でも突然現れて、この暴挙。
美少女にしか見えない冬依の頭に、僅かのためらいさえなく強烈なゲンコ。
いまだ握られたままの握り拳はとても大きくて、アレで殴られたなら、さぞかし痛かっただろう。
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