冬依の中学1年生

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言葉を失う仁依に春一は、 「失礼しました」 心の中まで見通してきそうな、まっすぐな視線を向けて、 「よく気を配られた綺麗な爪をされています。普段はきっと、もっと人と接する場所、気を遣う部署で働いてらっしゃるのですね。でも誰かの補佐というより、あのコンビニの本社なら、コーポレート統括か事業サポートか……」 どうやら、会社の組織図まで、きっちり頭の中に把握しているようだ。 仁依が、 「監査指導本部です」 と言いながら名刺を交換すれば、 「ああ、あの社長直属の部署ですね。やっぱりすごく優秀な方だ」 春一は手放しの賞賛をくれた。 「……いえ、そんなでも」 イケメンに面と向かって褒められて、仁依はちょっと照れる。 ふたりの話がわからないらしく、 『なーに?』 と上目遣いで見上げる冬依には、宥めるように頭をポンポンと撫でてやりながら、春一は、 「弟が何か失礼をしませんでしたか」 仁依に改めて尋ねてきた。
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