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仁依がぼんやりしていたのは、あまり長い時間ではない。
でも万引き商品が詰まったカバンを持ったままでは、仁依の方が犯罪者になってしまう。
そこで慌ててコンビニの店の中にとって返すと、カウンターの中にいた女性店長に、
「これ、確認して」
カバンを放り投げるように預けて、再び表に走り出した。
雨はまだ降っている。
でも傘をさしている余裕はない。
街並みに消えてしまった少女と男たちの姿を探して、キョロキョロとせわしなく視線を動かす。
耳を澄ませて、人の気配が感じられる路地裏を覗き込んだ。
そこには、やっぱり――。
男たち3人に囲まれて、恐怖に震える薄幸の美少女。
路地裏は張り出し屋根のお陰か、傘は必要ない。
仁依は男たちの中心にいる女の子に向かって足を進める。
辺りにはほとんとひと気がない。
大声をあげても、誰にも聞いてもらえないだろう。
なら、男たちの意表をついて、なんとか逃げるしかない。
無造作に足を進めて、新たに現れた人の気配にこちらに注目を向けている間に、さっと少女の細い手首を掴んだ。
『逃げるわよ』
声も出さずに、いきなり表通り目指して全力疾走。
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