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ところが、仁依の後ろ髪が、乱暴に男につかまれる。
ヘアピンが外れて、地面に飛んで落ちた。
「ちょ――、放して!」
仁依が悲鳴をあげかけた時、その男の手首を少女が左手でつかむ。
男を睨みあげながら少女は、
「……汚い手で、触んな」
とても可憐な女の子の口から出たとは思えないぐらい、凄みのある声を出した。
男をつかむ少女の前腕が、クッと弾むように一度ゆれると、
「痛って!」
男は苦痛に顔をしかめて、仁依の髪から手を離す。
次の瞬間には、少女の前蹴りが男の膝を蹴り崩していた。
男は女の子に手首をつかまれたまま、その腕に自重を預けて、地面に前倒しに倒れる。
すばやく少女は男の腕を片足で跨ぐと、膝の裏で押し潰して男の肘を逆関節にキめる。
「ぐわっ」
あり得ない方向に腕を曲げられ、男はたまらず悲鳴。
そこにとどめと、男の顔面めがけて少女の逆足の回し蹴りが襲いかかり、
「――!」
男は首を横なぎに捻られ、その場にガクリと首を落とす。
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