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手始めに、人間ならば一人殺せるほどの魔力を放出しました。
仮にも私は悪魔、それくらい余裕でできるくらいの力は持っています。
しかしながら…おかしい。
奴はまだ…生きている。
それどころか、氷のような瞳、なおかつはっとするほど美しい微笑でこちらを見て、こういったのでした。
「ねぇユリナぁ。
いま入ってきた虫、潰していーい?」
その声はまるでセイレーンの歌声のように耳に心地よく、私は雷で打たれたようになりました。
あぁ、この方には勝てませんね。
敗けです。
さっきまでは「魔王様は必ず奪い返す」と思っていたのに、今ではひとつのことだけが頭のなかを駆け巡っています。
『踏まれたい。』
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