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私たちの周囲に広がる校庭は、炎と砂鉄により焦土と化していた。全てが灰に還り、その中心に私たちは取り残される。
「お前は何とも思わないのか? なあ!?」
少年が立ちすくむ私の前に立ちはだかり、私の胸ぐらに掴みかかる。
重心が私からずれたことで、全身に脱力感が生まれる。
はぁ、と少年が私を開放すると、私は地面にへたり込んでしまった。
「お前は使い物にならないし、こうなったら俺だけでも加勢して……」
私はその言葉に反応し、無意識に「やめて」と声が漏れる。
少年は「あ?」とイラつくように怒りを表し、蛇のにらむときのような目で私に向き直る。
「じゃあどうしろっていうんだよ!」
炎の燃える音さえなければ、少年の声はどこまでも響いただろう。
少年の目には、僅かながらに涙が浮かんでいるように見えた。
その時、遥か上空から人が地面に着地する音が聞こえる。
音の正体が分かったのは、その人の形をした何かの向こうに炎という光源があったため、逆光により輪郭がはっきりと捉えられたからだ。
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