Prologue 01

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「藍……?」  私を見下ろす少年が呟く。 「やめて」  やがて私の声は、人型を立ち止まらせるだけでなく後退させるほど強く、大きな声となっていた。  人型が焦る様に、私に目掛けて指を向ける。  人型の一言、光る指先、放たれる紫の光。  しかし、私に直撃する手前でその光は失われた。  まるで、見えない鏡に吸収されたかのように。    ◆  その時、俺は藍に何が起きているのかを理解できなかった。  俺はまだ自分の力を制御できないため、あの時に人型に反撃していたら、自分すら、藍すらも巻き添えにしていたかもしれなかった。  でも藍は反撃し、そして人型に勝った。  しかしその時の俺は、藍のその力がやがて藍を導く存在だということを知らなかった。  いっそ、今でも知らない方が良よかったのかもしれない。  その方が、藍も俺も、今頃幸せに暮らしていたのかもしれない。  あの力の代償が何なのか、いずれ俺は藍に伝えなければならない。  俺が藍の、藍が俺の、唯一の存在であるために。
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