3 母

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龍一は、ぐったりとした美百合の首筋に指を触れ、 弱まってはいるが、確かに脈打っているのを確認する。 意識は失っているが、美百合は生きている。 しかし、何がどうなっているのか、さっぱりわからない。 ミャーが美百合に何をして、 どうして外へ飛びだしていったのか、 葛原はどうなったのか。 何ひとつ、解決したとは考えられない。 龍一はベッドから布団を引き下ろし、美百合の体を包んだ。 自分もすばやく立ちあがり、手近なシャツを羽織ると、ミャーの後を追った。 右手には、愛用のベレッタ。 ミャーの黒い尻尾を追って、駆けに駆ける。 細くてしなやかな尻尾は、まるで龍一を誘うように、視界の隅に消えていく。 イチゴハウスの角を回って、 小さな菜園の畔をくだり、 裏山へと登る小道に、 小さく駆け登るミャーの後ろ姿を見つけた。 時刻は夕闇が迫った、逢う魔が時。 仔猫の痕跡は、もしかしたら罠へと誘う道しるべなのかもしれない。 けれども龍一は、追いかけずにはいられなかった。 ミャーは美百合のことを何と呼んだ? 『オカアサン!?』
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