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「話がある。」
そう言って太一の部屋でテーブルをはさみ向かい合う。
「何だ?」
片膝立てて座る太一はリラックスモードだ。これから爆弾が落ちるとも知らずに。
ふぅと深呼吸をした。私もだいぶ緊張している。
「妊娠した。」
太一の動きが止まって、やたら目力の強い瞳がこちらにむく。
「まじで。」
「婦人科いった。妊娠2ヶ月。」
エコー写真も見せた。
写真をじっと見ていた太一は片膝立てていたのを崩し、正座をして、まっすぐこちらを見た。
「俺の子、ありがとな。」
感極まっているのかうっすら涙目だ。
「結婚しよう。」
「いいの?」
声が固くなる。
「私さ、妊娠は最後のチャンスだと思ってて太一と結婚出来ても出来なくても産もうって思ってる。ずっと子供欲しかったから。家族の協力は必要になるけど、たぶん何とかなる。太一はいいの?
私はけっこう太一のことが好き。だから、縛りたくない。子供のことで頼ることはあるかもしれないけど、けど、太一にも幸せになってもらいたいからさ。結婚しないっていう選択肢も考えていいよ。」
何故か涙が出た。
ほんとに太一の相手が私でいいのか。まだ付き合って三ヶ月なのだ。
「バーカ。俺はお前がいいんだよ。」
そう言ってクシャクシャと頭を撫でた。
「一生お前の味噌汁飲ませろ。」
「はは。味噌汁か。わかった。」
そうして三人は幸せに暮らしましたとさ。
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