第1章

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貿易商社の営業事務として働く私は、前の恋人と別れて3年、全く彼氏ができない。 その間に好きになった人はひとりだけ。 商品の輸入先の会社に勤めるマクシムさん。電話でしか話したことはなかったけど、日本語が堪能で物腰やわらかで、言葉を交わすだけで癒される。 そしてトラブルが起きても彼はいつもすぐに解決してくれて、みんなに頼られて好かれていた。まるでヒーローのような存在だった。 彼とのコミュニケーションを取ることにときめいて、いつか彼の国へ行きたいと思うようになった。 だけど、ある日突然彼は会社を辞めた。 プライベートな連絡先なんで知らなかったので、もう会うことも、想いを伝えることすらできない。 さよなら。マクシムさん。 それから、時々言い寄られることはあったものの、私の心は動かなかった。 第一私の何がそんなに彼らを惹きつけたのかも分からない。 例えば外国の人。私はそんなに英会話は得意でない。 英語を話すとき私は自信がなくてオドオドしてしまうし、そんな自分が嫌いだった。そんな私を好きになるなんておかしい。 例えば日本人。やたらかわいい、かわいいと言ってくれたけど、私は別にかわいくない。もしかわいかったとしても、そんな外見しか見てない人、私は信用できない。 その人はたぶん私のことが好きだったんじゃなくて、一発やりたかったとしか思えない。 まぁやっても良かったけど、けど何だか面倒くさい。 疲れたから帰るって言って、それ以降会ってない。 最近ではどうやって人を好きになるのかよく分からない。 好きになれたとしても、どうやってアプローチしていいのかも分からない。 こんな私。
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