第1章

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しばらくして、隣の男が立ち上がる。 何か別れの挨拶でもした方がいいのか、いや他人だし無視なのか?!少し動揺しているとテーブルの上にコロンと飴玉が落とされた。 「やる。じゃあな。」 爽やかに立ち去って行った。 名前も知らない人だけど、何と無く前から知り合いだったような変な安心感を感じる。 他人からもらったものは口にしないと決めているけど、この飴玉はおいしく舐めた。 それからもカフェで彼を見かけた。 お互い店内にいると気づくと挨拶をした。 名前も知らないのにおかしいの。 そんなある日、 「相席いい?」 声をかけられる。 見渡すと店内は満席だった。 「いいですよ。」 私は目の前の椅子からカバンやコートを取り、自分の椅子へとかける。 「サンキュ。」 彼は座りいつもの通りパソコンを起動する。 「そういえば、解答が間違ってる件、どうなった?」 「え!あれはもう解答が間違ってるってことで解決済みですよ!」 「ちゃんと確かめたのか?」 「してません!」 彼の肩が震える。 「お前、おもろいなぁ!」 大きな口を開けて大爆笑し始めるので、つられて私も笑った。 それから二人それぞれ作業した。 他人が近くにいるというのに気にならならずリラックスして勉強が進められた。 「なぁ。このイベント興味ある?」 スッと差し出された広告を見る。 ブラックミュージックを歌うアーティストがでるイベントだった。 なんと私が好きなairlineがでる! 「興味あります!」 「じゃ一緒に行くか!仕事関係でチケットが手に入るんだけど1枚あまっちまってたんだ!」 「いいんですか?!」 「おう!来週の日曜だ。現地集合な。あ。念のため連絡先教えて。そういえば名前も知らなかったな。俺は太一。」 「私はゆき。」 私たちは連絡先を交換した。
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