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イベントに一緒に行ってから、私たちの距離は近づいた。
カフェでは必ず相席するようになり、メールのやり取りも増えた。休みの日には一緒に出かけるたりした。
車を運転する太一の隣から私はけたたましく話しかける。
「でね!そいつ依頼はしてこないくせに情報だけくれって言うの!ムカつくでしょー!」
「あぁ。いるな。そういう度厚かましいの。」
「そうー!ゆるせない!金だせっ!バカ!」
「まぁまぁ怒んなって。ははっ!」
太一は私の頭をぐしゃぐしゃぐしゃーと撫でる。
「人間関係は大切だからな、ま。せいぜいいい子にしとけ。そーすればノープロブレムだ。」
「うぅ。わかってるよ。」
「お!すげー雪だな!外出てみるか。」
郊外まで出てきたその土地は昨日の大雪で一面銀世界だった。
誰もまだ足を踏み入れていないところへズボリと足を入れる。
「うわぁ。」
感激しているといきなり背中に衝撃がはしる。太一が雪玉を投げつけてきたのだ。
「ははは!命中!」
いつもの大口で大爆笑している。
むむむ!負けてなるものか!
それから盛大な雪合戦が始まったけど雪まみれになったのは私だった。
ひとい。
彼と一緒にいると落ち着くし、楽しい。
こんな毎日が続けばいいな。
ある日の夜、太一からメールが来た。
ー酔っ払った。迎えきて。
ータクシー呼んだら?
ーもうダメだ。死ぬ。
ーはぁ。今どこ?
ー初台のラワラワ。
ーはい。
私が駆けつけた時には酔いから冷めて帰っているのではないかと思いつつ指定のお店へ行くと、ひとりポツンと水を飲んでいる太一がいた。
「たいっさん。大丈夫?」
「おす。わりぃな。」
顔は赤くむくんでいる。
喋り方もろれつがあまりまわっていない。
「一緒に飲んでた人は?」
「帰った。」
「ふーん。」
その人達に介抱してもらえばよかったのに。何で呼び出したんだろう。
「帰れそう?大丈夫そうならタクシー呼ぶけど。」
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