第1章

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「もう少し休む。」 太一はそう言って私の肩に頭をよせてきた。酔うと甘えぽくなるのかな。 ドキドキしているのがばれないように、はい。とだけ返事をした。 しばらくしてから、タクシーを呼び太一の自宅へいく。領収書はきっちり頂いた。 自宅へ来るのは初めてだ。 千鳥足の太一を支えながらマンションのエレベーターに乗り、十階を押す。 「いいとこ住んでるなぁ。」 太一の部屋は少し片付いていて少し汚い、可もなく不可もない1LDKの部屋だ。 趣味?の骸骨のインテリアやら外国の雑貨、CDやDVDがたくさんあった。 何とか太一をベッドに寝かせる。 完全に眠りの世界に入っているので、上着だけ脱がせて布団をかけた。 水を用意してベッドサイドに置いておく。 時計を見るともう2時だ。明日は休みだし、ここで始発を待つか。 横になるのはおこがましい気がして(本人にも了解とってないし)ソファに座り目を閉じる。 浅い眠りからふと目を覚ます。 「ん?」 視線を感じると思って顔を上げると太一が目の前にいてこちらを見ていた。 「!!な、なに?!あ。始発までいさせてもらおうと思ったんだけど、ダメだった?!」 「いや、全然かまわないけど。てか、ありがとな。送ってもらって。」 「うん。大丈夫だけど。」 薄暗い中見つめ合うこの空間が何だか気まずい。 いつもの私たちの空気とは違う。 太一の顔がやたら近い。 「もう酔いは冷めた?」 「冷めた。なぁ。どうして迎えにきてくれた?」 「迎えきてって言われたから。」 「誰に言われてもきてた?」 「え。誰でもってわけではないけど。」 「来てくれて嬉しかった。」 「う、うん。」 すっと太一の手が私の頬をなでる。 目が離せない。強い目がこちらをじっと見つめている。 「俺、お前のこと好きだ。」 ドキドキして心臓が止まりそうだった。 「まっすぐで、すなおなところ。隠したり気取ったりしないて怒ったり笑ったりするとこ。投げたボールは、たまに変化球だけど、ちゃんと返してくれるとこ。お前なら信じられる。そばにいてほしい。なぁ、お前はどう思ってる、俺のこと。」
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