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いや、なんでいつの間にこんなシリアス展開になってるんだ。俺としては嫌がらせをやめさせる為に軽く痛い目に合わせてやろうって気持ちで居たくらいなのに。
俺だけか? 俺だけがこの空気についていけてないのか?
「セイムどうしたんですか? ちょっと軽い気持ちで賭け事しようと思ったら何故か状況が知らぬ間に転々して更に賭け事に負けていたような顔をして悩んでるようですが……」
大体当たってるっていうか全部大正解だわコンチクショウ。
だーがここは俺クオリティ! そんなことに反応を見せずに違う疑問を口にする!
「いや、何でミレアは棄権したんだろうって思ってな」
「は? ちょっと意味が分からないです」
「いやだってそうだろ? ミレアなら大体何賭けてたか分かると思うが、別にミレアに損がある訳じゃないんだぜ? むしろ勝てば1個煩わしい事が消えて────」
「はい、そこですね」
え? どこ?
「ミレアは先日も言った筈ですよ。『嘘は大嫌いですよ』とね」
あぁ、アリシスと話してた時のアレか。確かにあの時は怒ってないと明言してたと思うが……。
「ミレアはその事に煩わしさ“すら”感じてないんです。あっても無くても変わらないことを気にする人なんて居ないでしょう?」
「……なるほどな。つまり本当に、余計なお世話だったってことか」
「そういうことです」
この件に関しては周りが動く必要なんてなかったんだな。 ミレアの中でもう自己完結していて、後は周りにいる俺達だけだったんだ。
本当に仲間を信じ切れてなかったのは────。
「俺達、か」
「この事はセイムの方からそれとなーくあの方々に伝えておいてください。何故だか全く分かりませんが、ミレアの言葉ってあんまり信用性無さそうなので」
「日々の行いってやつだな」
「??? セイムよりよっぽど正直で良いことをしてますよ?」
「それを素面で言えるお前がこええよ」
いつもの態度からあまり見えてこないが、ミレアは俺達のことを結構信頼している。他に比べれば、という言葉が前につくがそれでも喜ぶべきことだろう。
こんなあからさまになったのは……水霊との戦いの後からか。よくは知らないがアレがミレアの心に何か作用してくれたのだろう。
ハッ、ダメだ。俺もシリアスに飲まれ始めてる。
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