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英明がそれに向かい何かを叫んでいる。
上半身だけの女はその言葉に体を激しく揺さぶり怒りに雄たけびを上げ、殺意のこもった目で隆のことを見、両手を隆に向かって長く伸ばした。
「ふざけんな!!!」
伸びてきた腕を手で払いのけるようにぶんぶんと振る。
女は気にもしないように狙った獲物の方へ腕を伸ばし、
バチンと電気が走った音、部屋中が黄色く光り一瞬の後、真っ暗になった。
小さい怒号が徐々に大きくなり、叫び声と奇声怒声が二人の耳の奥に深く刺さりこむ。
部屋が揺れ、渦の中巻き込まれる。
英明の腕の中にはぐったりとした隆がいて、隆を抱え込むように英明は自分の胸に抱く。
腕に刺さる熱はきっと女の爪が刺さっているんだろう。
英明もきつく目を閉じ、意識を保つように口の中で文を唱える。
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