台所の女

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立ち上がった時、ころころと転がる丸い玉が台所の方に向けて転がった。 「数珠が……」 英明がいつもしている数珠がばらばらにほどけ、台所の方へ転がっていく。 大きい水晶は粉々に割れて英明の腕にまとわりついていた。 「きっとあの女は……」 英明が意を決したように台所へ急ぐ。その後ろを隆もくっついていく。 玉は台所のシンク下で一つに固まった。 「開けていいか」 「俺一回も開けたことない。入れるもんねーし」 「……おまえは本当におめでたいやつだな。じゃ、開けるから」 「おお」 両開きの扉に手を当て、一気に引く。
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