台所の女

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そこには何も無い。 英明は知ったように底の板を剥がし始めた。 「おいおいおい壊すなよな」 「壊しても大丈夫だろ」 「なんでそうなんだよこえーし。もう昨夜のことといいこえーし! 大丈夫なふりしてっけど俺、けっこうきてるからな」 「俺だって同じだよ。でもこれ確かめないとよけい怖い。見てな」 「あーもう、まじか」頭をかきむしり、「わかった」心を決めた。 板を剥がし切ったそこに出てきたものは箱状の物の一部。 「くっせ」 「なんだよこれ、このにおい、この中からだぞ」 「やべえそれ、なんで今まで気づかなかったんだ俺」 英明は辺りを確認し、 「やっぱりな。これだ」 「それ、なんだよ。すげー臭いなんだけど」 「警察電話しろ」 「は? ってまさかおまえ」 「そのまさかだよ」
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