台所の女

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警察の調べによると、隆の家の台所の下には木箱に詰められた成人女性の遺体が体を丸くさせた状態で詰め込まれていたそうだ。 この家に以前住んでいた住人に話を聞いたら、隆同様、霊らしきものに苦しめられ、入居一か月で出たそうだ。 その前に住んでいた住人もまた同じ。 二か月も住めたのは隆が初めてだそうで、それを聞いて隆は蒼白になったのは言うまでもない。 大家に話を聞いたところ、話しが二点三点し、怪しんだ警察は大家に狙いを定め調べを進めていった結果、この初老の大家が犯行を認めた。 以前104号室に住んでいた女性をストーカーした結果、夜中に押し入って事に及ぼうとしたが、ものすごい勢いで拒まれ、咄嗟に殺してしまったということだ。 大家は犯行を遅らすのを目的に部屋の番号を左側からつけていたものを右側から付け替えた。全6室あったがその時はたまたまその女性しか住んでいなかったそうだ。 娘が行方不明になってから田舎の両親が探しに来た時にも足がつかないように、殺した部屋の台所の下に女性を埋め、部屋のものはごっそり隣の部屋へ移動させた。 その結果本当は103号室だった部屋が104号室になり、 104号室だった部屋が103号室になった。
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