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英明は自分の荷物を素早くまとめ、残りのビールと菓子をリュックにつめる。
「おい、ひで」
「しっ。まじ無理しゃべんな」
震える英明の背中を見ながら、ふと台所の方が気になった。
そういえばあそこはいつもカビが生える。
洗っても洗っても次の日にはカビている。
そして今英明が『絶対に見るな』と言ったってことは、今、そこには何かがいるわけだ。
ごくりと唾を飲む。
見るなと言われたら怖いモノ見たさで見たくなってしまうのが人の常。
隆は振り向きたい衝動にかられ、もう一度英明を確認したら、最後の菓子をリュックに詰め終えるところだった。
だったら、さっと見てそのまま一緒に出たら大丈夫だろう。
そう思い、脈打つ心臓をなだめるように鼻で息をし、後ろの台所の方を振り返った。
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