第1章

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でも、それで終わりになんてしたくないんだよ。 美亜は他の誰より可愛くて、キリッとまとめたポニーテールの黒髪が揺れて、おでこ全開でよりはっきり見えるパッチリな目。 その目がくしゃっと閉じて笑う、楽しそうな笑い声。 その笑顔、もう俺の目の前では見せてくれないのかな? 俺はこうやってクラスメートと話す美亜の笑顔を盗み見るしかできないのかよ。 離れるにしても理由言ってくれよ、美亜のばぁか。 そんな俺の不満をよそに美亜は笑ってる。 ちきしょう、何で俺への笑顔じゃないのに、そんなに可愛いんだよ。 そんなに可愛いと他の奴も美亜の事好きになっちゃうだろ? ほら、翔太とか大和とかあの辺の視線が危険なんだって。 自分が可愛いって自覚して、自衛心って物を持って貰いたいわけさ。 何から自衛するかって? 美亜の事を好きな変な奴からに決まってるじゃん。 あれ? それってもしかして俺? 認めたくないけど、俺? だとしたら自衛心ちゃんと養われてるって事か。 え? 俺、諦めなくちゃいけないの? それは、それはさ。 無理な話だよ、絶対に。 俺が美亜を諦められるわけないんだから。
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