第1章

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 天気予報では快晴。なのに、外は急に暗い雲の支配下となり、地面へ身を叩きつけるような雨が降っている。  僕はあくびをひとつ漏らした。  家に帰ったら本を読もう。今、読み始めた本があったな。確か、芥川賞をとっとかの・・・・・・。  とりとめもないことを考えながら、放課後の教室のドアを開けた。 「よっ!」  教室の横で少女が一人立っていた。弾けるような笑顔に僕もつられて口を緩める。 「図書館で待っててな。私、ちょっと用があるんよ」  少女へ頷き返すと、嬉しげにスキップしながら廊下の先へ消えていった。僕は反対へ向いて図書館へ向かった。  もう一時間以上はたった。少女の姿は見えない。黄昏時になってしまうのを僕はどこか怖れていた。  部活動以外の生徒は帰るよう知らせる鐘の音に僕はやっと重い腰をあげる。 「帰ろ」  いくら待っても来る気配がないのだから。本を棚へ戻して鞄を持ってくつ箱へ向かった。  いつのまにか雨が止んだ空は、鉄が錆びたような色に染まっていた。闇が訪れそうで訪れない道へ走り出そうとしたときだった。 「待った?」
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