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半年もバイトをすると、新品のギターが買えるくらいのお金が貯まった。
先輩から譲ってもらったGibsonは愛着も沸き気に入っていたのだが、練習すればするほど音割れとバズが気になるようになっていた。
なにより聞いたこともないバンドのステッカーが気に入らなかった。
僕はGibsonにするかMartinにするかで散々悩み、音楽雑誌とカタログを隅から隅まで何度も読み返した。
週末に楽器屋さんで相談すると、FUJIGENのNeo Classic 10シリーズが期間限定でセールになっていてスタッフのお勧めもあったので、悩みに悩んでNCST-10R/TB/WRを買った。
これまで使っていたGibsonに比べて薄くて軽く持ちやすかったが、なんとなく音も軽く感じオモチャのギターを弾いているような気がした。
だが、すぐにバイトで買った自分のギターに愛着が沸き、暇さえあれば部屋で掻き鳴らし、早くアンプにつないで大音量で演奏したくてウズウズした。
ギターを弾いているときは何故か頭の中で声も音もしなくなり、自分が弾いているギターの音だけが頭の中で鳴り響いた。
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