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大学生
大学に入ると不思議と声が聞こえなくなっていた。
大学でも軽音楽のサークルに入り、可能な限り普通の大学生活を送ろうと思った。
サークル内に友達もでき、定期的にバンド活動を行い人前で演奏することにも慣れた。
そして彼女もできた。
彼女とはヴィジュアル系バンドのライブで親しくなり、なんとなく付き合うようになった。
彼女は「PIERROT」の熱狂的なファンで、まだ「Dizy-Lizy」という名前で活動していたころの音源を集めるのが趣味といって、「PIERROT」の熱狂的なファンの総称である“ラー”たちから古い音源を譲ってもらうので有名だった。
それを知って以来、僕が「DIR EN GREY」好きなことは彼女に言えなくなった。
僕は好きでもない「アンティック-珈琲店」と「NoGoD」のコピーバンドにギターとして参加した。
大学一ハイトーンボイスが出るギタリストとして『スマイル一番イイ♀』を歌うのが定番になった。
大学生活は完全にバンドマンとして寝る間も惜しんで遊び、バンド活動のためにバイト漬けの毎日だった。
最初のころは不安もあったが、声が聞こえない生活にもすっかり慣れ声を気にしない生活を送るようになった。
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