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小学生のころは放課後になると、学校の図書館で本を読むのが日課になった。
4歳離れた弟は、活発で毎日暗くなるまで泥だらけになって遊んでいた。
友達の多い弟とは対照的に、僕はいつも図書館か自分の部屋に閉じこもっていた。
ある日、頭の中の声にほんのわずかだが、変化があることに気づいた。
声ではなく、ドアをノックする音や革靴で学校の廊下を歩くような音のときもあった。
動物の鳴き声とも赤ちゃんの泣き声ともわからない唸り声が聞こえることもあった。
ただ、どれも遠くで微かに聞こえる程度で、相変わらずハッキリ聞こえるのは男の声だった。
大人たちは、僕を怪談やUFO、未確認生物の物語が好きな読書好きな子供と思っていたに違いない。
いつも読んでいる本は超常現象や怪奇現象の本だった。
このころは比較的、頭の中の声も穏やかだったような気がする。
たまに苦しそうな唸り声が聞こえることがあり、そんな日は体調が悪くなり学校を休むこともあった。
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