中学生

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中学校では、とくに変人扱いされることもなく、雑学のあるちょっと独り言の多い変わったやつと思われる程度だった。 小さいころから本を読むのが好きだったせいか、学校の成績はよかった。 運動が苦手だったので吹奏楽部に入った。 吹奏楽部では、腕が長いという理由でトロンボーン担当に選ばれた。 トロンボーンは部活で2名だけだったが、もう一人は小学生のころにスイミングスクールに通っていたという理由で選ばれた背の高い女子だった。 部活の仲間やクラスの友達とテレビや芸能人、ゲームや漫画の話をしたり、とにかくバカ騒ぎをするのが好きだった。 学校ではみんなと仲良くやっていたし、喧嘩やいじめにあうこともなかった。 ただ1人だけ、あからさまに僕を避ける女子がいた。 櫻田ひなのとは、中1のときに同じクラスになった。 彼女はバスケ部で活躍し、他校から男子生徒が見にくるほど可愛くて有名だった。 他校ではファンクラブがあると言われ、バスケの試合があると知らない制服の生徒が大勢来ていた。 噂では東京の芸能事務所からスカウトがあり、中学を卒業したら芸能活動をするという話もあった。 櫻田がなぜ露骨に僕を避けるのか理解できず、たびたび不快な気分にさせられた。 中1の2学期に授業で班を組むことになり、櫻田と僕は同じ班になった。 そのときも櫻田は僕にまったく話しかけてこなかったし、僕が話しかけても最低限の返事しかしてこなかった。
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