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あからさまに僕のことを避ける櫻田の態度に、クラスで僕と櫻田の間になにかあったんじゃないかと噂になった。
「ちょっと、あんた、ひなのになにかした?」
「なんもしてねぇよ!」
「なんで、ひなのがあんたのことを避けるのよ?」
「知らねぇよ!」
「どうせ変態っぽいことでもしたんでしょ?」
「しねえよ!そんなこと!」
同じクラスの女子とこんなやり取りがあった日は、胸が締め付けられ気分が悪くなった。
夜になると頭の中で鐘が鳴り続け、ドアを激しく閉める音が続いて頭痛とめまいがした。
夢に櫻田が出てくることもあった。
夢の中の櫻田は、いつも悲しそうな表情で俯いて静かに口元が動いてた。なにか歌っているのか、つぶやいているのかわからなかった。
僕は静かに近づくのだが、いつも手が届きそうなくらいまで近づくと急に胸が締め付けられ、破裂するんじゃないかと思うほど激しく心臓が鳴り響き、呼吸ができなくなって泣きながら目を覚ました。
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