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「…で、始まったわけだが…。」
「此処はどこだ?」
今現在、私は”箱”の中に固定されている。短いようで長い眠りについて、起きたらこれである。これは一体…。
猫吊るし「ようやく起きましたね?」
電「おはようございます…なのです?」
「ああ、イナヅマか。…それで、そちらは?」
猫吊るし「初級講習係の妖精です。猫吊るしと呼ばれています。」
確かに、片手ずつそれぞれ猫の前肢を掴んでぶら下げている。しかし、何故猫を吊るしているのだろうか?
猫吊るし「鎮守府に溜まった厄を猫の形に形成して集めているんですよ。集まった厄はこうして…」
…考えが読めるのか?と思った次の瞬間、猫を頭の上でぐるぐる回し始めた。おい、何をする気だ。
猫吊るし「猫を外にシューッ!超!エキサイティン!…と、このように鎮守府を巡って厄を集め、誰もいない所へ投げ捨てるのも仕事の一つです。」
猫を窓…と思われる壁の穴に投げた。投げる時のテンションがおかしかったが、次の瞬間、何もなかったかのように振舞っている。
→見なかった事にしよう
…現実逃避している場合ではないな。
「…で、ここはどこなんだ?」
電「柱島泊地の鎮守府の執務室…なのです。司令官さんが仕事する部屋なのです。」
猫吊るし「と言っても貴方の図体では当然入らなかったので、急ぎ拡張しました。殺風景なのは後々なんとかして下さい。」
「なるほど…寝ている間に運んでくれたのか。しかもわざわざ私のために建物の改修までするとは。」
電「雨曝しは避けたかったのです。司令官さんの傷に響いちゃうのです。」
猫吊るし「どうせ壊滅した鎮守府の跡なので、建て直しついでです。おかげで厄い厄い。」
壊滅した鎮守府の跡…か。私はあまりそういうジンクスは気にしないのだが。
「ふむ…まあそれはいい、気にしたからといってどうにかなるものでもない。それよりも…まず何をすべきだ?」
猫吊るし「兎にも角にも建造ですね。一隻だけでは鎮守府近海ですら危ないので。」
「…なるほど、そういうものか。型落ちの巡洋艦と輸送艦だけ与えて鉄砲玉にする地球連合軍とは大違いだな。」
猫吊るし「えっ」
電「えっ…」
この反応、やはり…。とりあえずこっちは比較的ホワイトなようで一安心だ。
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