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みんなが水に、かぁ。そんなことありえないと思っているだろう。
そうだ、すべては僕の妄想だ。
父も母も妹も友達も愛猫もみんな本当の笑顔を見せてくれるわけじゃない。
本当はどこにもいない。みんなが水になっただなんて単なる妄想に過ぎない。
ニヤリと笑みを零して、滝の流れを眺めた。
今日も気持ちいい朝じゃないか。
みんなそうだろう。
僕は徐に身を乗り出して僕は滝壺を覗き込む。
ほら、見えた。あそこにみんな眠っている。
滝壺の底に眠っている。
僕がみんなを煩わしいこの世の中から救ってあげたのだ。
苦しいのはほんの一時だけだったろう。
水になるのも面白いものだろう。
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