プロローグ

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その時、龍一の携帯が音もなく点滅し、龍一は腕を伸ばして枕元のそれを引き寄せた。 画面を確認すれば、屋敷にしかけた熱感知センサーが侵入者の存在を教えている。 熱放射量の大きさ的には、イノシシだろう。 急速に青に変わっていくセンサーの色を見ていれば、イノシシが連動させてあるレーザーで、すでに処理済みだということがわかる。 だったら無惨なイノシシの死体が美百合の目に入る前に、 「処分しなきゃ、な」 龍一は面倒そうに呟いて、ベッドからスルリと降りた。 昼間は好奇心旺盛な美百合が、龍一の仕掛けた罠にかかるので、殺傷能力の無いイタズラ並みの仕掛けで我慢しているが、 夜を迎えた龍一には一片の、  ――容赦もない。
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