Love is Eternal

2/12
前へ
/12ページ
次へ
 乾いた音と湿った音……  寝室に、ふたつの音が交互に繰り返される。  ベッドに横たわる由果子……、その身体に馬乗りになったトオルの手には、刃渡り二十センチの洋包丁が握られていた。  トオルは両手で握った洋包丁を高く持ち上げたあと、由果子の胸めがけて振り下ろす。  鋭利な刃先が由果子の胸に突き刺さるたび、乾いた音が響いた。  そしてその洋包丁を身体から引き抜くたびに、飛び散った赤い血がトオルと由果子の顔を濡らし、湿った音を鳴らした。  トオルはそうやって、もう何十回も洋包丁を振り下ろし続けている。  大きく目を見開いた由果子の身体は、刺されたときの衝撃により微かに動くだけで、もうずいぶん前から息もしていない。  トオルの手がやっと止まったとき、二人の顔はペンキをかぶったみたいに真っ赤に濡れていた。  肩で息をしながらベッドを降りて、トオルは持っていた洋包丁をベッド脇に投げ捨てた。  それから血で濡れた両手を、赤く染まったワイシャツに擦りつけた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加