16人が本棚に入れています
本棚に追加
トオルは、自分の左手の薬指にある結婚指輪に触れた。
ヌルリという感触とともに指から抜き取った銀色の指輪を、ベッドの上に投げ捨てた。
指輪はシーツの上を跳ねて、由果子の左手の辺りまで転がった。
そして彼女の薬指に光る同じデザインの指輪に当たって、小さな金属音を響かせたあと止まった。
部屋の照明が、指輪の内側に刻印された文字を照らした。
『Love is Eternal』
~ 愛は永遠 ~
結婚式の日、トオルはチャペルで由果子の薬指に指輪をはめながら言った。
「僕たちは、永遠に一緒だよ」
二人は、永遠の愛を誓いあったはずだった。
今日までは……
「なにが永遠の愛だ」
自分の言ったセリフに呆れ果てたようにため息を吐き、トオルは寝室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!