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血で汚れた顔や手を洗い流すために、トオルはバスルームへ向かった。
脱衣所で赤く染まった服を脱いでシャワーの下に立つと、生臭い匂いがして吐き気をもよおした。
トオルは息を止めてシャワーのコックをひねった。一刻も早く、忌々しい由果子の血を洗い流してしまいたかった。
だが、シャワーからは一滴の水も出ない。
「おかしいな、なんで出ない……」
何度かコックをひねってみたが、水もお湯もまったく出ない。
トオルは舌打ちをして、今度は洗面台の蛇口をひねってみた。
しかし、蛇口からも水は出ない。
「どうなってるんだよ!」
トオルは蛇口の先を覗きこむように、身を屈めた。
そのときだった……
背後から、女の声が聞こえた。
「永遠に一緒……」
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