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女子はもちろん、男子までもが嫌煙する。もちろん、仲のいい友達もいるようだけど、女子はとりあえず目も合わせない。
「そ……それは、ちょっと……」
いや、蛇口はみんなで使うものだし、誰が口をつけたかなんてわからないし、使う前に洗えばいいじゃんとか思うんだけど、気分的にはそうはいかない。相手も相手だし。
……彼なら気にしない、むしろ心の中で自慢出来るのに。なんて密やかに思いながら、私は一番右の蛇口の前まで移動した。
心の中でだけ自慢するのは、もちろん誰にも公言するつもりがないからだし、彼を見ていた友美にライバル視されても困る。
蛇口に指先が触れたところで、またしても彼がストップをかけた。
「右も」
「えっ、アイツ?」
「いや、三組のアイツ。知らない?……なんか最近異様に気色悪い目で女子を見てるらしい。三組の友達に聞いたんだけど」
その男子とは、クラスは一緒になったことは幸いない。でも噂は聞いていた。私も三組に友達がいて、その男子の前の席なんだそうだ。授業中はずっと視線を感じ、プリントを後ろに回すときは必ず指に触れるほど近くに手を伸ばしてくるそうだ。
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