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「あんたが俺にしてくれることはみんな、こういうことをして欲しかったって思えることなんだよ。運命の人だって思ってる。だから浮気くらいしても構わないよ。俺には出来ないことをすればいいじゃん、そいつと」
身体の中で虫が鳴くようなモーター音が耳の奥で小さく鳴り響いてる。
空気がきしむ。
耳鳴りがする。
「でもきっとあんたは、他の人じゃもう満足出来ない。俺はあんたの為だったら何でも出来るからね。こんな従順な犬みたいな奴、他に見つかると思う? これは運命なんだから」
初めて見るような顔で、にやりと笑った。
やっとのことで彼に掴まれた手を振りほどくと、手首にくっきりと赤い痕がついている。
まるで、手錠を嵌められたような。
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