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「ソルティ・ドッグ、好きなの?」
「うん。でもこれはテールレス・ドッグ。グラスの縁に塩を付けないソルティ・ドッグのことをそう呼ぶんだって」
しっぽのない犬。それはどことなく彼のイメージにぴったりで、彼自身もそれを知っていてこれを選んでるんだろう。
「俺、あんたのこと知ってたよ」
少し得意げに、俺の心を試すような言い方。
これは、妄想なんじゃないか。
俺が生み出した妄想。
だって俺みたいに地味で内気なタイプの男を、彼のような人間が相手にしてくれるわけがない。
「いつも俺のこと見てただろ。あんたが、頭の中で俺のこと犯してるって知ってたよ」
彼は俺の手からコップを取り、自分のものと交換しながら言った。
「……それを、現実にしない?」
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