#04

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 彼の口を指でこじ開け俺のものをつっこむと、小さなうめき声を上げたが、抗わずにそのまま深く咥えこむ。  命令に従いながらも、それを待ち侘びていたかのような。  唇と舌先の動きはいつも正直だ。  悦楽という餌を飽かずに求めてる。  柵にもたれかかってベランダの下を眺めると、これから買い物やデートにでも出かけるのか家族連れやカップルが歩いている。  犬の散歩をする人、日傘をさす人。  誰もが今ここで行われていることを想像だにしていないだろう。  隣の部屋の住人だって、きっと。  いつもの晴れた休日と代わり映えのない景色の中に、磔にされ整った顔を涎と精液で汚された彼がいる。  手すりを掴む手が震えるほど、それを美しいと思った。
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