96人が本棚に入れています
本棚に追加
それから毎晩会社が終わると、阿佐ヶ谷駅をそのまま通り越して、西荻窪駅で降りた。
もう他に何の手がかりもないけれど、彼がこの駅を利用していることは確かだ。
各駅停車のホームのベンチに何時間も座って、降車する人の中に彼の姿を探していた。
こんなことで見つかったら奇跡だ。
自分だって馬鹿なことをしてるってわかってる。
ただ、そうせずにはいられないのだ。
あてもなく彼を探す夜が続き、今日こそ諦めよう、と何回も思うのだけれど。
気付くと降りるべきだった阿佐ヶ谷駅を通り過ぎていて、結局西荻窪へ向かってしまう。
そんなことを繰り返していた。
最初のコメントを投稿しよう!