愛猫

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 夫に先立たれた老夫婦の妻が、数年後、看取る者もなく他界した。その際、長年側にいた飼い猫も他界した。  近所では、そう語られて終わった話。だけど誰も真実を知りはしない。  不審な部分がないから自然死と断定されたけれど、もし老婦人と猫の亡骸が検死に回されていたならば、誰もが首を傾げただろう事実。  老婦人は猫より先に死んでいた。  調べれば覆しようのない事実だが、それは誰も知らぬこと。  総てを知る当事者は、今は誰もが空の上。  きっと、人であることも猫であることも関係なく、再び再会した三人家族で笑い合っていることだろう。 愛猫…完
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