第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
私は隠遁生活している兼好法師の庵を訪れた。 山深い庵だった。 良寛さんの庵に似ていた。 兼好さんやって来ました。 美味しい酒を持参しました、今宵はじっくり つれづれなる話を聴きたいものです。 『おう、こんなわびしい庵によくぞ起こし下さった。 では一杯頂きながら話すとしよう』 『つれづれわぶる人は、いかなる心ならむ。 まぎるるかたなく、ただひとりあるのみこそよけれ…』 「忙しい忙しいと走り回っていると、人から有能のように見られ、ゆったりと落ち着いていると、無能のように思われやすい。 そのために無能な人ほど忙しがってみせようとするばかりで、肝心のところをなおざりにしている。まあ、世の中の人はみんなこんなものだ」 なるほど、今の世にもあてはまりますね。 必要のない資料を机の上に積み上げたり、忙しそうに走り回っている人がいますから。 『それだ、わざわざ自分から主張しなくても、有能さは自然と回りに伝わるものなのだ』 ありがたいお言葉に感謝です。 「忙しい」と大騒ぎする人ほど、大したことはしていない。 「忙しい」を口にしないですね。 私達の会話は夜更けまで続いた。 合掌
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加