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 その日、俺は密林の中をさまよっていた。  木が揺れている。心地の良い風が吹くと火照ったからだが冷やされて、心身共に癒されていく感じがした。  すると、木の陰から子供ぐらいの背丈をした何かが顔を出した。  視界がぼやけていて顔が良く見えない。目を凝らして見ているとその何かが逃げ出した。  気になって後をつけてみると独りの子供が大木の枝に座って俺の方を見つめている。顔は、仮面で覆われていて服装はボロボロになった布を羽織っていた。  彼は、地面に下りて言った。 『君にこれをあげる』  俺の手のひらに小さな光を置いた。  これは、何?そう、言おうとしたが口が開かない。彼は、言った。 『希望の光』  まるで心の声を見透かされているようだった。 『もう、振り向いてはダメだよ。君は、歩くんだ』  彼は、そう言って背中を押してくれた。  君は、誰なの?そう、心で念じた。 『僕は、君。君は、僕』  振り向くと彼と俺との距離は、離れていた。  彼は、首を横に振っている。  そこで、夢は終わった。  少し思い出して考えてみた。振り返っては、いけない。いや、なるべく振り返ってはいけないと言うメッセージかも知れない。そう、考えてみると少し気持ちが楽になった。  また、彼に会えるかも知れない。その時は、もっと大きな人間になっていよう。そう思ったらなんだか前向きになれた気がした。
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