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「……巻き込まれた」
真琴がボソリと呟く。
「巻き込まれたじゃないわよ。真琴はやらなきゃいけないの」
「ぐぐぐ。……分かったよ」
瑠璃子の言葉に、真琴もついに観念したようだ。ただ、真琴の顔は若干、不満げだった。
「テストが終わればすぐに冬休みなのだから、ここが頑張りどころよ」
「そういえば、冬休みといえばクリスマスだな」
真琴が強引に話を変えてきた。無理やりにでもテストの話を終わらせたいらしい。
「また今年も皆で集まろうぜ」
クリスマスの話は楽しそうだったので、私ものっておく。
「いいね。二十四日と二十五日どっちにする?」
「二十四日はテニス部でもクリスマスパーティーやるから二十五日だと嬉しい」
「瑠璃子は?」
瑠璃子の方を見ると、瑠璃子が固まっていた。
「あれ? もしかしてどっちも予定ある?」
「あ……。今はないのだけど……」
「今は?」
真琴がずずいと瑠璃子に顔を寄せた。
「まさか彼氏か?」
「え? 彼氏?」
そんなの聞いていないぞ?
私も瑠璃子にずずいと寄る。
「ち、違うよ。いないいない」
イスを心持ち下げて、瑠璃子は両手を横に振った。でも、慌てようが何だか怪しい。
「彼氏じゃないなら彼氏予定か? 誰かから告白された?」
瑠璃子は優しげな雰囲気と可愛らしい笑顔から、男子の人気が高い。見上げられて微笑まれると、ギュッとして守ってあげたくなるともっぱらの評判である。さらさらの長い黒髪も大和撫子のようでキレイだと、男子たちが言っているのを聞いたことがあった。
誰かからクリスマスを前にしての告白は十分あり得る。
「ないない」
瑠璃子は手を振ってこれも否定した。
「じゃあ、もしかして瑠璃子が告白するとか?」
「え」
瑠璃子がぴたりと止まり、顔が真っ赤になった。
「おおっ! マジで告白すんの!」
真琴が興奮気味に大声を出した。
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