ゲート

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 苦しい。  一番初めに思ったのはそれだった。  目を開けると、私は誰かに抱き付かれていた。 「ち、ちょっと誰?」  驚いて身じろぐと、よけいに抱き付いてくる力が強くなった。  だ、誰えええぇ!  誰か分からない気持ち悪さに、私は力任せに抱き付く誰かの肩を押し返した。  やっと剥がれた相手は押されてバランスを崩したのか、ふらふらと後ずさりして座り込む。相手が離れたことで、相手の姿が私の視界に入った。  赤髪に青い鎧の男。  それを見て、私はギョッとした。  私は日本人だ。  こんな奇抜な外国人の知り合いなんていない、とまで考えて気付いた。  私の視界の両端に、文字やアイコンが浮いていることに。 「これは……」  周りを見回して、私は自分がどこにいるのか確認した。  十人も入れば満杯になってしまいそうな真四角の部屋。天井は一面すりガラスで、そこから青白い光が降り注ぐ。床には何重もの円を組み合わせた魔法陣がデザインされ、その中央には手の平より二回りぐらい大きな黒いボックスが浮いていた。  私はこの場所を知っている。ここ最近、私が毎日来ていた場所だ。  確認の為に、私は黒いボックスに触れる。 『ハルカ様。ロストハピネス・オンラインにようこそ! 転送しますか?』  私の名前を呼ぶ機械音声とともに、はいといいえが表示されているウインドウが目の前に現れた。  私にとってお馴染みの画面だった。  やっぱりそうだ。  ここはロストハピネス・オンラインの中だ。  私は確信した。
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