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知らない!
こんな清晴は知らない!
見たことない清晴への驚きに、私の心臓はパンクしそうだった。
「とにかく、ゲームを始めよう」
清晴が手を退けて、空中を指で叩き始める。たぶんゲームメニューを操作しているのだ。
私は頭から清晴の手が退いたことにほっとして、清晴から視線をそらした。
心臓が落ち着かないのは何故だろう?
「イベントまで時間がない」
「イベント?」
何のことか分からず、私は視線を逸らしたまま清晴に聞き返した。
「前から約束していただろ。今日のイベントアイテムは絶対に取るんだーって。今日は十二月二十四日。クリスマスイベントの日だ」
「十二月二十四日?」
私は慌てて右上のメニューアイコンをタッチして、現実の日時表示を出す。そこには、十二月二十四日、二十三時と出ていた。
「あと一時間しかないじゃない!」
クリスマスイベントは二十四時に行われるイベントだ。その時間までに指定の場所に着いていなければならない。一番近い村からでも、到着するのにはギリギリの時間だった。
「嘘! 時間ない!」
「だからゲームを始めようって言っているだろ」
「早く行こう!」
もう一度黒いボックスを触り、私は転送のウインドウを出す。
『転送しますか?』
また機械音声とともに、はいといいえのウインドウが現れた。
私ははいを押す。
とりあえず、記憶が変なのはあとで考えよう。
今はイベントを優先!
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