夏と言えば怪談1

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「ねぇねぇ、黙示さん!」 「なんですか?」 一通り仕事を終えた黙示は、紅茶を飲みながら林檎の話に耳を傾ける 「未来も混ざったって事は、未来はもう分かってて…実は未来の私もいるの?」 「それに関しては、混ざる前の未来は一緒に混ざったけど無数の林檎ちゃんの中から今の林檎ちゃんが存在してるんだよ。 だから、未来の林檎ちゃんも過去の林檎ちゃんも存在はしない。 林檎ちゃんは林檎ちゃんだよ もちろん、例外もいるけどね。 そして、この世界の未来は混ざりすぎてパラレルになる前に不安定だから 仮にタイムマシンが完成しても、混ざる前の時間には行けないし未来にも行けない。 そういう感じかな」 「ふーん…黙示さんは物知りだね」 「あくまで、個人的は仮説だよ」 優しい笑みを浮かべながら黙示は、林檎の質問に答え 林檎は、ハッ!と思い出したように別の話題を黙示に話し始める 「そういえば黙示さん!知ってます? 最近、この付近で口裂け女が出没するんですよ!」 「へぇ…口裂け女ですか」 いきなり話題が変わったことには触れず、黙示は林檎の新しい話題に興味を示した 「そうです! なんでも魔法の言葉'ポマード'も効果が薄いみたいで、結構学校でも会った人がいるんですよぉ…」 「まぁ、今時幽霊やそういう類いも珍しくありませんし それなりに適応してきているのでしょう」 「うーん…でもやっぱり怖いものは怖いですよね」 まだ口裂け女に会ってない林檎は、その相手を想像しているのか笑顔が少し引き攣り 慌ててミルクティーを飲み気持ちを落ち着かせる そんな時、カランカランと店のドアが開く音が響く その音に林檎は反応し体が少し跳ねるが、振り返り入ってきた人物を確認すると安心した様に、その人物へと駆け寄り飛びつく 「雪さーん!」 「あらあら、いらっしゃい林檎ちゃん いきなり飛びついてきたら危ないわよ? 黙示さん、ただいま戻りました」 「おかえりなさい、雪さん」 店に入ってきた雪と呼ばれた人物は、黒い長めの綺麗な髪を軽く束ね肩から前の方に流し 深い青の着物に白い割烹着 そして、透き通る様な綺麗な声とそれに相応する綺麗な容姿をしており 男女問わずの客は一度は必ず彼女に目を移してしまう程に魅力的な女性だった。
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